再生医療
多血小板血漿(PRP)治療について
多血小板血漿(PRP)を用いた変形性関節症の治療とは
・多血小板血漿(以下、PRP*)は患者様の血液中に含まれる血小板から放出される成⾧因子が豊富に含まれています。この治療はスポーツ選手のケガの早期回復や関節症の痛みを抑える治療として広く日本でも利用されています。
・PRPは患者さん自身の末梢血を採取し、国で承認された医療機器Angel cPRP/PRP シ ステム(Arthrex Japan)を使って生成します。
・PRP療法は変形性関節症の患者さんに対して、ヒアルロン酸注射と人工関節の橋渡しになることが期待されている治療です。PRPの関節内注射は主に「滑膜」に作用し、関節炎と痛みの改善を目的としています。また、「軟骨の下の骨」が痛んでいる場合は、骨の炎症や痛みを取る目的で、細いドリルを使って骨に穴を空け骨内にPRP
を注入します。
・これら関節と骨へのPRP注射を適切に使い分けることで⾧期間人工関節をしないで済んだという報告が欧州からされており、近年ますます注目されています。
治療の原理
以下の原理に則って、治療を行います。
・多血小板血漿には炎症の抑制や治癒促進に働く成⾧因子を含む様々な因子が多数含まれています。それらを濃縮し、病巣部に投与することで成⾧因子等の作用で炎症や痛みを抑制します。
多血小板血漿(PRP)治療のメリットとデメリット
【メリット】
• 自己組織由来なのでアレルギーが起こりにくいです。
• 日帰りでの処置が可能です(末梢血の採取、細胞の投与も同じ日に実施します)。
• 関節の痛みには滑膜(関節を覆うカプセルのようなもの)の痛みと骨の痛みがありますが、この治療はどちらに対しても効果が期待できます。
• 細胞の採取と投与のため腰と治療を行う関節に5mm程度の小さな傷はできますが、 保険診療内で行われている手術(人工関節や骨切り術)と比較すると、体に対する負担が少ないと言えます。
• 自分の関節を温存する一般的な手術(骨切り術)は⾧期のリハビリと入院が必要ですが、PRP療法は日帰り可能な治療です。
【デメリット】
• PRP調製時における細菌などの混入、多血小板血漿を移植する際に、神経損傷、血管損傷・出血、骨折がリスクとして考えられます。
•術後においては骨折、感染症、血腫、皮下内出血、大腿周囲の痺れ(神経障害)、下肢静脈 血栓症、肺動脈血栓症がリスクとして考えられますが、これらの事象が起きた場合には最善の処置を行います。
• 調製したPRPが規格を満たさない場合や、調製途中で発生した問題により調製が完了しなかった場合など、血液採取を行ったにもかかわらず、PRPを投与ができない場合があります。
• 注射部位に硬さ・しこりが残ることがあります
• 本治療は自由診療です。社会保険や国民健康保険など公的医療保険の適用を受けることができません。
治療の方法
・止血と成長因子を骨にとどめるために患者さんの血液からトロンビンという血液や骨髄 液を固める成分を抽出し、多血小板血漿またはPRPと一緒に注入します。
・骨にPRP を投与する場合は神経ブロックまたは腰椎麻酔を行います。治療中は麻酔が効いていますので痛みを感じることはありません。
・採取した末梢血を遠心分離することにより、1治療箇所につき多血小板血漿またはPRP を2~15ml生成し、注入します。
・骨に異常がみられ、患者さんの同意が得られる場合には、骨内へのPRP注射を合わせて行うことをお勧めいたします。
・治療後は、異常がないことを確認するため定期的に(概ね、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後)に通院していただく必要があります。
治療後の注意点
・治療後は歩いて帰宅いただけますが、治療後の過ごし方については必ず医師の指示に従ってください。
・投与後、数日間は血流の良くなる活動(⾧時間の入浴、サウナ、運動、飲酒など)を行うことで、治療効果が弱くなったり、痛みが強くなったりすることがありますので控えてください。
・関節は細菌に弱いので、清潔に保つよう心掛けて下さい。治療当日は入浴せず、翌日から浴槽につけていただいて大丈夫です。
・痛みがあまりに強い、赤みや腫れがひどい場合、注射した部位に感染がないか、健康状態に問題が起きていないかを確認するために、ご来院をお願いいたします。
・違和感や不具合が生じた場合、自己判断での処置や他院で治療するのではなく直ちに当院にご連絡ください。
・この他、何らかの不調や気になる症状がみられた時は、遠慮なくお申し出ください。必要に応じて、ご説明または医学的な対応をさせていただきます。また、何か新たな安全性の情報などが分かった場合は、すぐにお知らせします。
・健康被害が発生した場合、当院にて速やかに追加治療を行います。万が一に備え、実施医 師は医師賠償責任保険等に加入していますが、患者様の不注意、もしくは現在の医学では想定できない事象等によりその範囲を超える費用が発生した場合には原則として患者様のご負担となることをご理解ください。
治療にかかる費用について
・当施設にて全額自己負担として治療費をお支払いいただきます。また、血液採取後、麻酔後に同意を撤回された場合、費用はお返しできませんのでご注意ください。
・本治療に係る費用は患者様の症状などにより患者様毎に異なります。
・施術する前に詳細な施術料金を提示いたしますので、ご納得いただいた上、受療いただきますようお願い申し上げます。
診察料(診察のみの場合) | 3300円 |
血液検査(初診料込) | 14300円 |
PRP関節内注射(1部位、1回) | 250000円 |
PRP骨内注射(1部位、1回) | 650000円 |
PRP関節内および骨内注射(1部位、1回) | 700000円 |
お問合せ
この治療の内容について、わからないことや、疑問、質問、もう一度聞きたいこと、さらに詳しく知りたい情報などがございましたら、遠慮せずにいつでもお尋ねください。
治療が終わった後でも、お答えいたします。
【お問い合わせ窓口】
受付窓口:須佐病院 医事課
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