再生医療

脂肪由来幹細胞（ASC治療）について

こんな方は脂肪由来幹細胞（ASC）治療がおすすめ

さまざまな分野で研究が進んでいる幹細胞治療ですが、整形外科領域、特に変形性膝関節症で良好な結果が出ています。以下に該当する方は、変形性膝関節症に対する脂肪由来幹細胞治療の検討をおすすめします。

•ヒアルロン注射で十分な効果が得られない
•痛み止めを減らしたい、できればやめたい
•症状の進行を食い止めて重症化を避けたい
•人工関節置換術などの手術はなるべく避けたい
•手術に伴う長期の入院・リハビリが困難な状況にある
•家族に介護の負担をかけたくない
•骨壊死の診断を受けた
•最新の細胞再生医療を受けたい

幹細胞治療ができる施設

当院では、幹細胞治療の中でも、「脂肪由来幹細胞治療」を行っています。これは、幹細胞治療のうち、特に脂肪由来の幹細胞を利用した治療を指します。脂肪由来幹細胞（ASC）治療はどの施設でも簡単にできる治療ではありません。この治療は再生医療等の安全性の確保等に関する法律のもと行われる再生医療であり、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会で治療の妥当性・安全性などが厳しく審査されます。再生医療を行う細胞の提供計画書が厚生労働省に受理され初めて治療を行うことができます。当院は第二種再生医療の提供計画が受理され、提供計画番号を取得しています。また、細胞を培養する施設も厚生労働省の認可を受けた細胞培養加工施設（CPC）に依頼しています。

脂肪由来幹細胞（ASC）治療に期待される効果

【痛みの緩和】
炎症を抑制するサイトカインが分泌されることから、痛みの緩和が期待できます。他の治療と比較して痛みの緩和が早期に現れ、さらにその効果が長期間維持されたという多数の研究報告があります。

【軟骨の増殖・修復】
幹細胞が有する分化機能が組織の修復を促すことで、従来は再生しないと言われていた軟骨の増殖・修復が期待できます。

【運動機能の改善】
上記の2つの効果によって、膝関節の可動域および運動機能の改善が期待できます。

脂肪由来幹細胞（ASC）治療のメリットとデメリット

【メリット】
•自己組織由来なのでアレルギーが起こりにくいです
•脂肪の採取、細胞の投与とも、それぞれ日帰りでの処置が可能です
•脂肪幹細胞のもつ様々な機能により、従来治療とは異なる治療効果が期待できます

【デメリット】
•脂肪を採取するため、腹部や背部を数センチメートル切開する必要があります。
•皮膚の切開痕、および投与数日間、炎症（痛み、熱感、赤み、腫れ）を伴う場合があります
•脂肪の採取には麻酔を使用しますが、麻酔が切れたあとに痛み、倦怠感、熱感が現れることがあります。また、切開した場合、1週間程度激しい運動は控えていただく必要があります。
•ごく稀に脂肪の採取箇所や投与箇所に感染症が起こる可能性がありますが、その頻度はヒアルロン酸やステロイド治療と同程度です
•投与の際、脂肪幹細胞の注射部位に硬さ・しこりが残ることがあります
•本治療は自由診療です。社会保険や国民健康保険など公的医療保険の適用を受けることができません。
•当院で使用する脂肪幹細胞培養法は、動物由来成分を含まない非常に安全かつ高品質なものです。しかし、細胞を増殖させるために、ヒトの血液に由来する血液製剤（米国の輸血用製剤を原料としています）を使用しているため、感染症のリスクを完全にゼロにすることはできません。
•培養細胞は「生き物」です。患者さんによって細胞の性質や増殖力が異なっているため、治療に必要な数が得られないこともあります。その場合、治療は中止となります。
•高度に衛生管理された環境で培養されますが、脂肪を採取する際あるいは細胞培養を始める際などに、稀にごくわずかの雑菌が混入することがあります。その場合、細胞注入後の感染事故を防ぐため、治療を中止することがあります。

治療の方法

①原材料となる脂肪の採取、②細胞の投与、③経過観察のために当院にご来院いただく必要があります。
治療は以下の順でおこないます。

•脂肪幹細胞を取り出すため、お腹や背中の脂肪が多い部分を数センチメートル切開あるいは太めの注射器を使って脂肪を採取します。採取の際は局所麻酔を使用するため痛みを伴うことはありませんが、麻酔が切れたあと、採取痕に違和感や軽い痛みが出ることがあります。通常、数日で回復します。また、切開した痕が突っ張るような違和感を感じることがあります。
•脂肪の採取方法によってその後の過ごし方が変わりますので、医師もしくは看護師にご相談ください。
•細胞の培養が完了するまで約２ヵ月かかりますのでその間、お待ちいただくことになります。
•医師の判断で、細胞の投与は数回に分けて行うことがあります。その際は、あなたの細胞は複数回分に分けて培養施設で凍結されることになります。なお、複数回投与の場合は費用が変わってきますので、のちほどご説明させていただきます。
•細胞の投与は、関節への注射によっておこないます。必要に応じ、局所麻酔やエコーなどを使うこともあります。
•画像検査により骨に異常（異常陰影、BML）が認められた場合、骨の中への幹細胞注入をお勧めしています。その場合、骨髄移植で用いられる細いドリルを使って骨に穴を開けます。
•細胞の投与後は、異常がないことを確認するため定期的に（概ね、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後）に通院していただく必要があります。
•投与に用いなかった細胞は、ご希望により製造施設で凍結保存し、将来、必要に応じて再度投与することができます。

治療にかかる費用について

当施設にて全額自己負担として治療費をお支払いいただきます。また、脂肪採取後に同意を撤回された場合、費用はお返しできませんのでご注意ください。
本治療に係る費用は患者様の症状、施術回数などにより患者様毎に異なります。
施術する前に詳細な施術料金を提示いたしますので、ご納得いただいた上、受療いただきますようお願い申し上げます。
一般的な治療費用は下記のとおりです。（税込表記）

※患部の状態から、複数回（3回程度）の投与が望ましい場合があります。その場合は別途注意点、料金をご説明いたします。

お問合せ

この治療の内容について、わからないことや、疑問、質問、もう一度聞きたいこと、さらに詳しく知りたい情報などがございましたら、遠慮せずにいつでもお尋ねください。
治療が終わった後でも、お答えいたします。

【お問い合わせ窓口】
受付窓口：須佐病院 医事課
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